過去の建築から学び、それを現代の技術を融合させ、良い形で将来へ残していきたいと考えています。商業施設などは不特定多数の人間が不定期に集まる空間なので、ある面では斬新なデザインを追い求める必要があると思います。住宅は、普通の家族が普通の日々を送る上で、心と体を癒す空間であるべきと考え、長期間に亘って飽きのこない家造りが基本であると考えています。
ファッションにはTPOという言葉が使われます。披露宴には礼服を着て、お茶の席では着物を身に着けます。家は残念ながら気軽に、時と場所をわきまえるというわけにはいきません。一度建てると何十年もその場所を変える事はできません。簡単にスタイルを変えるわけにもいきません。街並み、風土などを鑑みてその環境に美しく溶け込むようなデザインでありたいと思います。
普通の平凡な日々を過ごす室内は、飽きのこないデザインが基本にありながら、心身を癒す範囲で非日常の空間を提供していきたいと考えます。
インテリア全体のイメージは最後に入る家具のデザインによって決まってしまいます。極論すれば、なんの変哲もない建物に素晴らしい家具を入れれば素敵なインテリアになります。逆に、素材にこだわりデザインされ予算をかけた建物でも、それらに配慮されない家具を入れるとイメージが崩れてしまいます。愛着のある家具をそのまま使われる場合を除いて、新たに購入を検討されるときは一緒にコーディネートしたいと思います。
建物はファッションと違い、簡単に着替えるわけにはいきませんが、照明は空間を着替える事が出来ます。単純なレベルでは点灯時と消灯時でもインテリアは変化します。さらにこだわって建築化照明や調光などの照明計画をすれば、もっと変化に富んだ環境を創造することができます。照明計画で陰影があって深み、奥行きのある空間を創造したいと考えます。
日本の住まい造りは、「夏を以て旨とすべし」とされています。高温多湿の風土は、結露やカビを発生させ、建物を早期に傷めてしまいます。カビの繁殖は人体にもアレルギーなどの形で悪影響を及ぼします。昔は木と紙と土で調湿させ、隙間風で結露が発生する事はありませんでした。現代の建材や工法では、別の手法による調湿や通風による結露対策は大きな課題です。また、昔は冬の寒さはひたすら耐えるのが基本でしたが、この恵まれた現代社会においては断熱性能を高めていくのも重要です。
住宅という観点からすると、庭はあくまでも付随する存在でしかないように思われがちです。しかし、建物の外観、街並みの形成、室内との融合、家族との関係を考えた時、庭の持つ重要性が認識されると思います。また、高気密高断熱化され外部との断絶を目指す現代の住まい造りと、庭や恵まれた四季の環境との融合はこれからの課題です。
家造りは、住む人、建てる人の哲学です。ライフスタイル、家族との有り様、生活信条などの結晶です。地域、風土、環境、歴史、街並み、そして予算など与えられた色んな条件を考慮し、最高の家造りに貢献したいと思います。家造りを通じてのコミュニケーションは、結果として完成した建物よりもある意味、重要です。
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